食品の商品開発における生成AIの活用事例

弊社は「食×AI×地方創生」を目指し、生成AIを活用して地方の生産者、食品メーカーが持続可能な経営を確立できるようサポートいたします。

先日、とある障がい者就労支援施設の運営団体から自分たちで育てている無農薬の青ばた大豆を使った商品開発のお話をいただきました。

あおばた豆は黒目の青大豆の一種です。ほかの大豆と同じく未成熟期には枝豆として食べられていますが、完熟しても種皮の色が緑色のままの大豆です。枝豆の風味と香りが残っており、塩ゆでにして枝豆のように食べたり、だし汁を染み込ませた「ひたし豆」が東北地方ではお馴染みです。このことから、あおばた豆をひたし豆と呼ぶ地域もあります。

主な産地は東北で、岩手・宮城・山形で主に栽培されています。基本的な栽培時期は、6月上旬に種蒔きをし10月下旬に完熟を迎えて収穫となります。あおばた豆の名前の由来には諸説あり、漢字表記も青肌豆・青端豆・青畑豆などがあります。

(※豆と雑穀の専門店すずや様のサイトより引用)

今回は目指すべき販路が明確にある中での商品開発の案件になります。
そこで商品開発の初期段階で、どのように生成AIを活用するのか、一連の流れをシミュレートしてみたいと思います。

まず、ChatGPTなどのテキスト生成AIに、自社の情報、使用する原料の情報、想定販路の情報など分かっている範囲の前提条件を記載して、商品アイデアを出してもらいます。
そうすると下記のような結果が出てきます。

障害者施設での製造販売を考慮し、一部の製造工程を委託することも可能な青ばた大豆を使った商品のアイデアを以下に示します。

1. 青ばた大豆のクッキー: 
簡単に製造可能な焼き菓子として人気があり、製造工程の一部(例:包装など)は委託可能。
青ばた大豆を粉末にして練り込むことで、健康志向をアピール。
焼成が主な工程であるため、難度は比較的低く、施設での製造に適している。

2. 青ばた大豆のスプレッド(ペースト):
大豆をペースト状にし、パンやクラッカーに塗って楽しむ商品。
味付けやフレーバーのバリエーションを持たせることが可能で、消費者の幅広いニーズに対応。
委託可能な工程:瓶詰めやラベル貼り。

3. 青ばた大豆入りライスバーガー:
青ばた大豆を具材として使用し、もち米で挟んだライスバーガー。
ヘルシーで食べ応えがあり、簡単な調理で提供可能。
パティ部分の加工は委託し、最終組み立てを施設内で行うことも可能。

4. 青ばた大豆のおかき:
大豆を練り込んだおかき。焼成や味付けはバリエーションの可能性が高い。
お年寄りから子供まで幅広い層に受け入れられる。
委託可能な工程:大規模なプレス・焼成。

5. 青ばた大豆のフリーズドライスープ:
青ばた大豆の旨みを活かしたインスタントスープ。
オフィスや家庭で手軽に利用できる。
スープの素の製造やフリーズドライ加工は委託し、最終パッケージングは施設で行う。

これらのアイデアは、障害者施設での製造を前提に、作業のしやすさと可能な委託業務を考慮しています。コミュニティや施設の特性を活かしながら、地域貢献と収益確保の両立を図ることができます。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

前提条件を入れてアイデア出ししてもらうことで、障がい者就労支援施設に適した商品アイデアを出してくれました。

本来であれば市場調査をこの前後に行う必要がありますが、今回は省略して先に進めます。

続いて、それぞれの商品名とキャッチコピーの候補、想定されるリスクと原材料を挙げてもらいました。

以下に、それぞれの商品アイデアについて商品名、キャッチコピー、リスク、そして想定される原材料名を示します。

1. 青ばた大豆のクッキー
商品名:「青ばたスマイルクッキー」
キャッチコピー:「毎日のおやつに、笑顔を運ぶ自然の優しさ。」
リスク:大豆アレルギーを持つ消費者がいるため、購入層が限定される可能性があります。また、普通のクッキーと比較し、風味が特異に感じられる場合がある。
想定される原材料名:青ばた大豆粉、小麦粉、バター、砂糖、卵、ベーキングパウダー

2. 青ばた大豆のスプレッド(ペースト)
商品名:「青ばたごはんのお供」
キャッチコピー:「大豆の力で、パンにもご飯にも、新たな魅力を。」
リスク:保存期間や風味がチルド商品に影響する可能性があり、消費期限内に使い切れない場合があるかも。パッケージングが十分でないと、酸化のリスクがある。
想定される原材料名:青ばた大豆、オリーブオイル、塩、にんにく、レモン果汁

3. 青ばた大豆入りライスバーガー
商品名:「青ばたライスバーガー」
キャッチコピー:「便利でヘルシー、お腹も心も満たす逸品。」
リスク:冷凍保存や調理方法の違いによって、食感や風味が損なわれる可能性があります。また、餅米使用によるカロリーを気にする消費者には敬遠されるかも。
想定される原材料名:もち米、青ばた大豆、野菜(キャベツ、にんじん)、しょうゆ、みそ、砂糖

4. 青ばた大豆のおかき
商品名:「青ばた香味かきもち」
キャッチコピー:「伝統の味に、新しい風を吹き込む大豆の力。」
リスク:硬い食感が苦手な消費者や高齢者には受け入れられにくい可能性があります。また、湿気による品質低下が心配されます。
想定される原材料名:もち米、青ばた大豆、しょうゆ、砂糖、塩

5. 青ばた大豆のフリーズドライスープ
商品名:「青ばたほっこりスープ」
キャッチコピー:「青ばた大豆で、手軽に味わうふるさとの温もり。」
リスク:フリーズドライ工程の品質維持が難しく、風味が損なわれる可能性があります。お湯で戻す際の水温の適正化がされないと本来の味が出ない恐れ。
想定される原材料名:青ばた大豆、野菜(にんじん、玉ねぎ)、鶏がらスープの素、塩、こしょう

これらを基に、さらに具体的な商品開発を進めていくことで、付加価値の高い○○県産の商品を提供できるでしょう。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

商品名やキャッチコピーは現段階では参考程度にしておいて、リスクについては結構専門的な内容まで挙げてくれていることが分かります。

今回は障がい者就労支援施設にフリーズドライの設備があるということでしたので、フリーズドライスープに絞って話を進めてみます。

想定販路は食の安心・安全について意識の高い、健康志向の強い利用者を抱えるところなので、青ばた大豆のフリーズドライスープについて、その販路を想定したマーケティングの4P戦略を考えてもらいました。

青ばた大豆のフリーズドライスープを○○○○(想定販路)を通じて販売する際の4P戦略を以下に示します。

1. Product(製品): 
特徴:○○県産の無農薬青ばた大豆を使用した、栄養豊富でヘルシーなフリーズドライスープ。 
バリエーション:味のバリエーションを用意することで、多様な食事シーンに対応。例えば、和風だし味、トマトベース、クリーミーポタージュなど。 
包装:使いやすい個包装タイプで、持ち運びが便利。エコフレンドリーな素材を使用し、環境に配慮。 
品質:○○○○(想定販路)の品質基準に適合し、着色料や保存料不使用で、安心して食べられる商品。

2. Price(価格): 
戦略:プレミアム感を出しつつ、手頃な価格設定。○○○○(想定販路)の利用者向けの特別価格や、まとめ買いでの割引を設定。 
原価管理:地元産の原料を活用することで、コストを最適化し、競争力を維持。 
価値提案:栄養価と手軽さの付加価値を強調し、価格に見合った価値を提供。

3. Place(流通): 
販路:○○○○(想定販路)のカタログやオンラインストアを活用して、○○○○(想定販路)の利用者に直接販売。 
地域イベント:地域のイベントや試食会で、実際に製品を体験してもらう。 
直販:施設訪問者向けの直販コーナーを設置し、地域内での認知度向上を図る。

4. Promotion(プロモーション): 
広告活動:○○○○(想定販路)のニュースレターやウェブサイトでの特集記事、○○○○(想定販路)の利用者向けメールマガジンでのPR。 
試食キャンペーン:○○○○(想定販路)の利用者向けに定期的な試食キャンペーンを実施し、商品の美味しさを実感してもらう。 
口コミ・レビュー:○○○○(想定販路)の利用者の口コミを活用し、製品の魅力を広める。満足度調査を行い、ポジティブなフィードバックを反映。 
コラボレーション:地方の農家や食品メーカーと協力し、さらに地域色を強めた商品展開や共同イベントを企画。

この戦略により、青ばた大豆フリーズドライスープの価値を最大限に引き出し、○○○○(想定販路)に訴求することが可能です。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

次に、想定販路以外にピックアップしてもらった販路の1つとして「健康志向のスーパー・食料品店」を取り上げ、ここのバイヤーに提出する提案書のベースを作ってもらいました。

以下に、健康志向のスーパー・食料品店のバイヤーに向けた提案書の概要を示します。 

提案書:青ばた大豆フリーズドライスープの販売戦略 

商品概要 
商品名:青ばたほっこりスープ 
主成分:○○県産無農薬青ばた大豆 
形状:フリーズドライパック 
保存:常温保存可能で、長期間の保存が可能 

ターゲット 
健康志向の消費者:自然食志向やオーガニック、無添加食品を選ぶ方 
シニア層:手軽さと栄養価を求める高齢者 
働く世代:忙しい日常の中で食事の手間を省きたいビジネスパーソンや共働き家庭 
アウトドア愛好者:キャンプやハイキングなどのアクティビティを楽しむ方々 

コンセプト 
健康と簡便さの融合:「忙しい毎日に、手軽に摂れる栄養源」 
環境配慮:地元の無農薬農産品を使用し、サステナブルな商品を提供 
地域の魅力発信:○○県産の素材を使用した、地元愛あふれる商品 

利用シーン 
日常の食事:簡単にお湯を注ぐだけで済むため、忙しい朝やランチに最適 
職場のランチ:手軽に持ち運びができ、職場での食事に健康な選択肢を提供 
アウトドア活動:軽量かつコンパクトで、野外でも簡単に栄養満点のスープを楽しめる 
家庭の備蓄:保存性が良いため、防災備蓄食としても活用可能 

市場背景
消費者の健康志向が高まる中、無農薬・有機食品の需要が増加しています。
フリーズドライ技術を活用することで、栄養価を保持しつつ持続可能な食品の提供が可能です。
忙しい現代社会では、簡便で栄養価の高いインスタント食品へのニーズが高まっています。 

マーケティング施策 
試食イベント:ストアでの試食会を通じて、商品の魅力を実際に体験していただきます。 
プロモーション:SNSや店内ポスターでの商品紹介を強化し、ブランド認知を向上します。 
特別キャンペーン:初回購買者向け割引やポイントバックキャンペーンを実施し、顧客エンゲージメントを高めます。 

期待される成果
店舗内健康食品セクションでの販売を通じた商品認知度の向上
ブランドイメージに合致した顧客層へのリーチ拡大 – 地域特産品のプロモーションによる店舗の差別化

この提案が貴店のビジョンや顧客ニーズに一致し、成功を導くことを心より願っております。何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

新しい商品を出してもすでに競合が存在しているか、新たに参入してくる企業があります。
いい商品を作れば売れるという甘い世界ではないので、しっかり競争環境の分析を行っておく必要があるため、5フォース分析を行ってもらいます。

ファイブフォース分析は、業界の競争環境や市場の力関係を理解するためのフレームワークです。以下は、青ばた大豆フリーズドライスープに関するファイブフォース分析です。

1. 新規参入者の脅威: 
参入障壁:フリーズドライ技術や信頼される供給ネットワークの確立には投資が必要で、参入障壁は中程度。特に地域ブランドや無農薬を売りにする場合、信用の確立に時間がかかる。 
競争の激化:健康志向食品市場は成長しているため、新規参入者が増加する可能性が高い。

2. 既存競合企業間の敵対関係の強度: 
競争の激化:健康食品市場には大手メーカーが多数存在し、差別化戦略が重要。類似商品が多く、価格競争が起きる可能性。 
ブランドロイヤルティ:ブランドに対する顧客の忠誠心が市場での競争に影響を与える。

3. 買い手の交渉力: 
消費者選択肢:消費者は多数の健康食品を選べるため、選択肢の多さが交渉力を高める。 
価格感度:健康と自然志向食品に対しては高価格でも支払う意思がある顧客がいるため、必ずしも価格競争が主ではない。

4. 供給者の交渉力: 
原材料の特異性:青ばた大豆という特別な素材を使用しているため、特定地域の供給者に依存しがちで交渉力がない場合も。ただし、無農薬であることが強み。 
代替供給源:限られているため、サプライチェーンの安定性に留意する必要がある。

5. 代替品の脅威: 
代替製品の多さ:他の健康スープや即席スープと競合。特にフレーバーやブランドでの違いがあるため、代替の脅威は高い。 
消費者の嗜好変化:食のトレンド変化が起こると、消費者の関心が他の商品に移る可能性がある。

この分析により、青ばた大豆フリーズドライスープの競争環境では、特に代替品と新規参入者に対する備えが重要であると考えられます。製品の差別化を図り、ブランド価値を高めることが競争優位性を持続するための鍵です。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

最後に5フォース分析の結果を踏まえて、大手企業の商品との差別化の方向性を探ってもらいました。

青ばた大豆フリーズドライスープを競合する大手企業の商品と差別化するためには、以下の戦略を考慮することができます。

1. 原材料の独自性と品質の強調: 
自社栽培の優位性:青ばた大豆が自社栽培であることを強調し、品質管理や安全性の高さをアピール。栽培から製造まで一貫した管理体制をアピールすることで、他社にはない安心感を提供。 
無農薬・地域特産品のアピール:無農薬であることや福島県産であることを前面に出し、地域性や環境への配慮を強調。

2. ストーリーとブランドイメージの構築: 
地域の物語:地元のコミュニティとの関わりや地域社会への貢献を背景に持つ製品ストーリーを伝える。福島の風土や歴史を商品に結びつけ、感情に訴えるストーリーを作成。 
農業体験の提供:ターゲット顧客に向けて、青ばた大豆の栽培体験やオンライン農場ツアーを提供することで、商品への愛着を育む。

3. 独自の製品開発とラインナップ: 
フレーバーの多様化:独自の味付けやフレーバーを展開し、他にはない新しい味を提供。 
製品バリエーション:フリーズドライスープ以外にも、青ばた大豆を使った他の加工品(例えば、スナックや調味料)を開発し、シリーズ商品として展開。

4. お客様とのコミュニケーション強化: 
フィードバックの活用:顧客の意見を積極的に取り入れ、商品改善を行うことで、顧客満足度を向上。 
コミュニティの形成:愛用者のコミュニティやファンクラブを作り、ブランドロイヤルティを醸成。

5. エシカル・サステナビリティへの取り組み: 
環境への配慮:パッケージのエコ化や、製造工程での環境負荷低減を図ることで、エシカル消費に敏感な顧客にアピール。 
社会貢献活動:売上の一部を地域復興のために寄付するなど、社会貢献活動を通じたブランド価値の向上。

これらの差別化戦略を活用して、青ばた大豆フリーズドライスープは他社製品に対する明確な優位点を築き上げることができます。それにより、顧客の支持を得て競争の激しい市場での地位を確立することが可能です。

(※カルクワークスの社内AIチャットより)

こうしてみると、小さな企業や団体でも大手企業の商品との差別化の方向性はいろいろあることが分かります。


このように、商品開発の初期段階で生成AIを活用することによって、自分たちだけでは思いつかなかったアイデアを出してもらえたり、商品名やキャッチコピーを考えてもらえたり、マーケティング戦略の方向性も出してもらえます。
思考の抜けや漏れを未然に防ぐことにも繋がります。

ただし、生成AIのアイデアを鵜呑みにすれば売れる商品を作れるというものでもなく、参考にしながら1つ1つ丁寧に進めていくことで、売れる可能性を高めていくことができます。

また、生成AIを利用する際にはプロンプトと呼ばれる指示・命令文を作る必要があります。このプロンプトの精度によって、出てくる結果の精度にも大きな違いが出てきます。
ここにはマーケティングの基礎知識も必要で、マーケティング用語やフレームワークを理解していると得たい結果に早く辿り着くことができます。

繰り返しにはなりますが、弊社では「食×AI×地方創生」を目指し、生成AIを活用して地方の生産者、食品メーカーが持続可能な経営を確立できるようサポートいたします。 → 詳しくはこちらをご参照ください。